岸田政権の行方を占う衆院島根1区の補欠選挙がきょう告示される。争点となる「政治とカネ」問題の論点を整理し、政治改革をいかに進めるべきかを探る目的で有識者ら7人にインタビューし、補選を前に記事にした。
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取材の中で「候補や各政党の訴えに対し、有権者はどういう意識で耳を傾ければ良いか」とも聞いた。紙面に掲載しきれなかったため、印象に残った言葉を紹介したい。
自民党派閥の裏金づくり発覚のきっかけとなる刑事告発をした神戸学院大の上脇博之教授は「説明責任をどこまで果たそうとしているか」と答えた。裏金問題への説明に加え、政治資金の透明性をどう向上させるかも指標になるとみる。
批判合戦を危惧したのは日本大の岩井奉信名誉教授。「けしからんというのは分かっている。問題を非難するだけではなく、政治資金制度の改革を論理的に訴えられるかどうかだ」と主張した。
前鳥取県知事で大正大の片山善博教授は「長い目で見て、本当に信頼に足る人か見抜く眼力が必要だ。結婚相手を見つけるようにじっくり選ぶべき」と説いた。他の有識者を含めて目立ったのは、問題に真正面から向き合い、逃げずに実現可能な改革を訴える姿勢だ。耳を傾けるのは候補者本人にとどまらない。21日には岸田文雄首相や立憲民主党の泉健太代表も島根入りする。政治が信頼を取り戻す一歩になるかどうか。言葉を待ちたい。(吏)