1945年の敗戦から80年となる年が明けた。世界各地で戦争や紛争が続く中で、私たちは遠ざかる大戦の記憶をどうつなぎ留め、そのリアルを伝承すべきなのか。4千人以上の戦争体験者らから聞き書きをして、現代史を実証主義的に描いてきたノンフィクション作家の保阪正康さんが、自らの戦後の原点となった北海道八雲町や皇居前を歩き、思索をめぐらせた。

 

 〈終戦の日を保阪少年は北海道南部の八雲町で迎えた。当時5歳、翌年4月に新たに生まれ変わった八雲小学校に入学した。自らを「戦後民主主義の第1期生...