交通事故や事件の現場を360度撮影できる三次元レーザー計測器を操作する交通事故鑑識官の伊藤卓真さん=松江市殿町の島根県警察本部
交通事故や事件の現場を360度撮影できる三次元レーザー計測器を操作する交通事故鑑識官の伊藤卓真さん=松江市殿町の島根県警察本部
ライトとルーペを手に車体の下を調べる伊藤卓真さん=島根県警察本部
ライトとルーペを手に車体の下を調べる伊藤卓真さん=島根県警察本部
交通事故や事件の現場を360度撮影できる三次元レーザー計測器を操作する交通事故鑑識官の伊藤卓真さん=松江市殿町の島根県警察本部 ライトとルーペを手に車体の下を調べる伊藤卓真さん=島根県警察本部

交通事故鑑識官 伊藤 卓真さん(松江市殿町)

 悪質(あくしつ)なひき逃(に)げ事件(じけん)や多くの車両が関係した交通事故(じこ)の現場で緻密(ちみつ)な鑑識(かんしき)活動をするのが、交通事故鑑識官。今年から島根県警察(けいさつ)本部交通指導課(しどうか)(松江(まつえ)市殿(との)町)の交通事故鑑識官になった伊藤卓真(いとうたくま)警部補(けいぶほ)(37)は「被害者(ひがいしゃ)や遺族(いぞく)の無念(むねん)を晴(は)らしてあげたい。犯人(はんにん)の逃げ得(とく)は絶対(ぜったい)に許(ゆる)さない」という決意で、万一の出動に備(そな)えています。

 伊藤さんが担(にな)う「鑑識」は、刑事(けいじ)部門の鑑識と同じですが、交通事件、事故の状態(じょうたい)を明らかにすることに特化して、車や道路などに残された痕跡(こんせき)から犯人逮捕(たいほ)や原因究明(げんいんきゅうめい)につなげる重要な仕事です。

 仕事場は、県内全域(ぜんいき)。事件、事故が発生すると、投光器(とうこうき)などいろいろな装備(そうび)を積んだ交通鑑識車で現場(げんば)に急行します。

 現場では、地元警察署(けいさつしょ)の捜査(そうさ)を支援(しえん)。時には道路にはいつくばり、事故現場に残された車の部品やはがれ落ちたわずか数ミリの塗膜片(とまくへん)など、手がかりとなる物を探(さが)し出します。

 現場は混乱(こんらん)し、関係者の話は不確(ふたし)かなことも。当事者がうそを話したり、死亡(しぼう)していて話が聞けなかったりした場合や、目撃者(もくげきしゃ)がいない場合もあり、「どんなわずかな物でも確実(かくじつ)に見つけ、何が真実かを明らかにしていかないといけない」と、責任(せきにん)の重みを強調します。

 伊藤さんは出雲(いずも)市出身。大学時代に中学の同級生が交通事故で亡(な)くなり、「事故を未然に防(ふせ)ぐ仕事で地元に貢献(こうけん)したい」と、白バイ隊員を志(こころざ)し警察官になりました。1年半の交番勤務(きんむ)を経(へ)て交通取(と)り締(し)まり、捜査を担当(たんとう)。ひき逃げ事件が毎日のように発生する大阪府警で2年間研修(けんしゅう)もし、捜査や交通鑑識の技能(ぎのう)を磨(みが)きました。

 今やデジタル化が進み、防犯カメラやドライブレコーダーが普及(ふきゅう)。車の性能(せいのう)も向上し、捜査の手法も変化が求められます。「今の交通鑑識の仕事は、現場の鑑識に加え、データの分析(ぶんせき)など幅(はば)広く、とてもやりがいがあります」と話します。

 

みなさんへ
 自分自身に何がむいているのかは、なかなか分かりません。実のところ、私(わたし)は白バイ隊員に選ばれませんでしたが、日々の交通取(と)り締(し)まりや捜査(そうさ)を続けてきたことが今の仕事に役立っています。目指していたことがだめになったとしても、頑張(がんば)った経験(けいけん)は必ずどこかで役に立ちます。調べたり、経験したりして、焦(あせ)らずやりたいことを探(さが)すといいと思います。