三瓶山の上のアンタレス=5月28日、大田市の三瓶山北の原で撮影(さつえい)
三瓶山の上のアンタレス=5月28日、大田市の三瓶山北の原で撮影(さつえい)

南に赤く光る明るい星

 今は日が長いので、十分に暗い空が見られるのは、午後9時近くになります。これからの夏、そんな時間の夜空をながめると、南の低いところに赤く光る明るい星があることに気がつきます。さそり座のアンタレスです。

 赤といっても赤信号のようにはっきりした色ではありませんが、ほかの星と見比(みくら)べれば、やはり赤みが強いと感じられます。実際(じっさい)、肉眼(にくがん)で色が分かるほどの明るい星の中では、冬によく見えるオリオン座(ざ)のベテルギウスと並(なら)んで、もっとも赤い星といえるでしょう。

 自ら光る星は、その光の色と星の表面の温度とに関係があり、青っぽい星は温度が高く、赤っぽくなるほど低い温度になります。例えばオリオン座のリゲルのような青白い星は1万度以上あるのに対して、アンタレスは約3500度です。太陽の表面の温度が約6000度なのに比べても、ずいぶん低いことが分かります。

 温度が低いからといって、決して弱々しい星ではありません。もし、アンタレスの近くに行ったとしたら、太陽の直径の約700倍もある大きさに圧倒(あっとう)されることでしょう。さらに、明るさは太陽の数万個(こ)分で、とにかく巨大(きょだい)な星です。

 このように赤くて大きいというのは、寿命(じゅみょう)を迎(むか)えようとしている星の特徴(とくちょう)です。アンタレスの場合はやがて爆発(ばくはつ)することが分かっています。ただし、それが何十万年先かは分からず、さそり座から急にアンタレスが消えてなくなることはありません。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)